紫草のにほへる


春は萌え出づる季節だったのですが、初夏の蓬は艾(もぐさ)の植物、同じくもえる草なのです。
邪気を払う薬玉に使われていて、端午の節句といえば菖蒲と蓬なのでした。
そしてこのころは杜若のかさねの色目が浮かびます。

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端午の節句のころです。こちらはあやめかな。富士の雪が季節を物語ります。

椿の灰で紫根を染めた経験がないわけではありません。
ただ他の樹木と一緒に椿を燃やしてしまったり、椿を燃やしたと知らせてくれた方からいただいたりした灰を使っていました。

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紫草と藍でいろいろ 昨年の写真です。

新たな工房ができて一番楽になったことは灰をとる作業です。
とてもとても本当にとても贅沢なのですが薪ストーブをいれたのです。
このことで暮らしも仕事も楽になりました。

ストーブには大鍋をかけることができ、ここで染色を行います。
燃やした樹木の灰は媒染に使用します。

山梨なので八ヶ岳のナラ、クヌギが手に入りやすくこれは藍を建てる時に使います。
剪定した桃や葡萄の木はあまりアルミ分が含まれないのか、黄味が抜けて透明感のある色に発色します。
そして薪ストーブがはいったことで新たに加わった間伐材の唐松、赤松の灰も媒染の役割を果たしてくれます。

薪ストーブにより灰の分類がたやすくなり、この3種類にわけて保管しています。
ただ椿は油分が多いこと、生葉を燃やすことから薪ストーブですと負担がかかります。

ただもうすでに3種類の分類がすんでいると、椿を燃やして灰をとることが一連の流れとなりたいした手間ではなくなりました。
そのようなわけで先日、節目の日に燃やしました。
灰は再生の象徴でもありますから・・・
薪ストーブ効果と福永さんのおかげです。

そして灰汁による違いはこちらです。

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青が強い方が葡萄の灰汁、赤味が加わった方が椿の灰汁です。

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メリノーも並べました。

灰汁自体は無色透明、ピリリとして、ぬるっとしています。

椿の灰汁が手に入らない時は明礬で媒染をすると似た系統の色味になります。
でもやはり、椿の灰汁はアルカリ性であるためか色合いはより純度が高くキレイです。


おうち

先日、新たに植物用のおうちを手に入れました。煙突もあります。なんて贅沢!


紫は灰さすものぞ


橋渡しをする媒染はほぼ無色透明です。

ところがこの液体が色の決め手となります。
自らは色を放たずに糸や布に色を着ける力があります。

染まるとはその字の表すように草木を用いた水溶液に、モノを浸して色づくこと。
そこには植物と水があります。

人間の目、耳、鼻、触感、舌で確認することは難しいけれど、その細かなコトが確実に色に反映します。

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昨年の紫草です。旧工房の勝沼です。

紫根は椿の灰汁で紫色を染めるのがいいと、それは染めることを生業にしている者にとっては常識のことです。椿にはアルミの成分も含まれていてその調和がキレイな紫を生みます。それなのになかなか椿灰をとろうと私は腰を上げませんでした。これは本当に重い腰だった。

この春、イラストレーターの福永由美子さんが新しいアトリエに引越をした。
なにかお手伝いをと、連絡をすると大丈夫ですよというお返事とともに私の身体を気遣うメールをくださった。
連休明けにお届けものがあったのでご挨拶もかねて新しいAtelier Bleuet へ、個展前にもかかわらず、あいかわらずのお人柄とアトリエの心地よさにまたしても長居をしそうだ。
「ちょっともさもさしていたので椿をばっさりとしたら陽射しがちょうどよくて」
「椿、椿灰は染めるものにとっては特別なんです」
「だったらどうぞ」
ということでなんと燃やすちびドラム缶ごとくださった。

椿 火

そしてこうして燃やしている。
まあよく燃える

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葉っぱも沢山燃えました。さすが「椿油」という品があるだけあって油分が多くよく燃えます。

いい灰です。

そしてこれはと早速紫根をと仕込み染めると
同じ灰なのに元の樹木がちがうと色違いになり、人がそれぞれなように木もいろいろな要素なのだと感心する。
腰を上げてよかった。持ち上げてくれた福永さん、ありがとう。

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染めあがりの様子はまた明日ご覧ください。
大丈夫です。きちんと写真を保存しました。



みどりがあおあお


筍をいただいてから月日がたち、今は笹が陽射しにきらきらと、風にさらさらとして
今日も暑くなりましたけれど、この風景に涼を覚えます。

アイスコーヒーや炭酸水で涼しくなることもあり、そのガラスや氷の「カラン」で暑さが和らぎます。

5月は4月に芽吹いた草木が瞬く間に生長していて、目が回りそうで、あおあおとした緑がうれしいのです。

藍発芽
5月8日 藍が発芽しました。


連休の3日に飯田蛇笏、龍太が過ごした山蘆へ、お知り合いのインテリアコーディネーターの方が、
お休みの過ごし方もコーディネイトしてくれて、山蘆のご主人夫妻や俳人の方々との出会い、お屋敷の佇まいや木々に包まれ満たされる時を過ごしました。
後山(山蘆の雑木林)の竹林と小川、ほどよく手の入った木々に囲まれ身体一杯で爽やかな風景を楽しんだ。

夏向きストール ブロック
竹林の清々しい風から生まれたリネンとタッサーシルクのストールです。
コロコロと紡ぎ紫草と蓬で染め織りました。


皐月はアヤメやカキツバタではじまり、蓬を経て、今は藍と綿の生長に日々一喜、ちょっとしたトラブルに一憂
でもそれにあまりある、素敵な方々とのひとときがありました。

綿発芽
5月20日 和綿、洋綿ともに発芽しました。

藍生長2

5月20日 藍の生長にうれしい日々です。

とても素敵な方々とのお時間は楽しいだけでなくかけがえのない時間でした。
そのようなひとときが、この先も続くようなな気がしています。
これは、これからよほど自らを律しないとバチがあたります。

夏向きストール 紫ギンガム
紡いだタッサーシルクを紫根で染め手織りをしたストールです。
紫根でおそらく12回(4日間)染めました。紫根は昨年一度染めた根から再び色素を抽出しました。
 


いいこと、よくないことはきっと同じようにやってきます。
よくないことを、日々誠実に真面目にとりくむことで補えるならと、ちょっとがんばってみたり、我慢してみたり。
さてサクラの緑葉で染める準備を整えます。
本当はすこし遅いのです。

前回の続きは、秋にまた記したいと思っています。

今は清々しい風をめいいっぱい楽しみながら日々励みます。

ストール拡大

なんだか自分のことばかりですね。

どうしようもなく悲しい気持ちになったとき、
ほんのすこしでも明るい気持ちになりますように。
そんなテキスタイルが生まれますように。

まずは早起き、水やり、糸つむぎ♪



桃のはなびらから新緑へ 


弥生の頃のおはなしです。

春の高校野球をラジオで聴きながら手仕事をする。

緊張感があり一球一球、そのときどきが生きていて澄んでいる。
甲子園と高校球児が綴るこの物語は切なくも清々しい。

とりおり手紙を書く。
封筒を選んだり切手や封で悩んだり、万年筆にしようか筆にしようか、いや色鉛筆でイラストでもなんて楽しくなって誤字だらけの乱文というお粗末な内容なのにそのままほんのすこし気にしながら投函する。

そんなことをたまにしているとそういうお仲間からお便りが届いた。
ご縁でその方に会いに行った。
そこは茶話堂といいかつては印刷業をしている工場、いまは心地よい喫茶スペースとギャラリーで「詞音ーshion ー」という屋号のお店。その古い建物に沿う建具や小物が魅力的でひとつひとつの歩みを訊きたくなる。

高校生だろうか、ジャージを着た女性二人が来店し飲み物を注文していた。
どうやら常連さんのよう。
以前きたときは70代くらいの男性と20代くらいの女性が静かにコーヒーを飲みながらそれぞれの時間をたのしんでいた。

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4月15日ころの春日居町です。工房2階の窓から撮りました

はじめてここに来たのは昨年のゴールデンウィークだ。
駐車場の白いモッコウ薔薇がちょうど見頃で眩しくて、その向こう側の住宅地では大きな洗濯パラソルがくるくるくると迎えてくれて楽しい気分のまま時をすごした。

「シオンさんに行ってみたい」という私の言葉を覚えていてくれてお休みの日なのに休日ランチと銘打って「工房を建てる」打ち合わせをしてくれるsantahahaさんと看板メニューのビーフシチューをいただいた。
天気のいい連休の中日で、それほど混んでくることもなかったのでゆっくりと、でもおしゃべりは尽きなくて楽しいランチで「こんな感じの工房が理想だけれどこれは月日を経たからこそ醸し出される雰囲気だから、いつかこうなるような・・・」というようなことをオーナーさんにお話したり、いやまったくいいお休みだ。

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4月16日、引越後はじめての河川清掃でみつけた白花たんぽぽです。

そのころここ「川風の調べと紡ぐ家」はまだ名もない畑地だった。どこに建てるかも決まっていなかった。
キッチンはどうしよう、天井は、壁は、屋根は、だいたい家の大きささえ定まらず、でも打ち合わせはいつも本当に楽しかった。

その後エンドウ工務店さんにも幾度となく足を運ぶ。私が大遅刻をしたこともある。それでも笑顔で迎えてくれ心配をおかけしてしまっても私は負い目を感じることは全くなかった。
びっくり。

それはだめだ。

今思い出して、反省します。でもいままでそれを忘れさせる「おもてなし」だったのです。
遅刻をしてしまい申し訳ありませんでした。

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4月15日ころの写真です。この景色を眺めながら糸車をまわしておりました。

もうエンドウ工務店に行く用事はなくなってしまった。
ふらりと立ち寄っても変わらぬ笑顔で迎えてくれるとわかっていても、ひとくぎりがついたことも変わらぬ事実。

気分転換、一服するところ、そういうところをいくつか持っていると「よし!」と転んでも立ち上がることができます。

そしていつか行きたいところ、その場へたちたいところがあると前に進めます。

少し長くなりましたので今宵はここまでにいたします。

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ランチバッグをつくりました。

はるなので


 今年はちょうど桃の咲く頃に桃染めをいたします。

 早稲田大学オープンカレッジで過去に何度が桃染めをしましたが
 今回は「まさにその」開花のころにあたります。

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 冬の剪定した桃の枝を煎じて染めますが、
 開花した桃を愛でながら、その桃色とじっくりと向き合うことができます。

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 溢れる陽射しの下で

 新生活に役立つ布もいくつか染められたらと思っています。

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 キッチンクロスとしてお弁当を包んだり、
 48cm四方なので首に巻くこともできます。
 リネンと紡いだタッサーシルクで手織りをしました。シルクのところだけしっかり色づきます。

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 桃色に近い方は灰汁で媒染し、黄色系はミョウバンで媒染しました。
 当日はおはぐろ液も選択肢に入ります。

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こちらは灰汁の媒染です。

 このほか水筒カバーにミトン兼ポットマット、文庫本カバーなどなど

 明日の雨を経てきっときっとあたたかい春が・・・