春が一歩づつ


あの春の嵐あたりから
あたたかい陽射しやひだまりに包まれたとき、「ふんわり」と春の香りにも包まれます。

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肌寒い夕のあのもうすぐ門出のときという、宙ぶらりんで切ないような、ほんわりした不安を背負いながらの心地よさ
春の気配です。

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このあと革をカットしました。
見つけた改良点からもうすこし、この入れ物と向き合います。


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水仙の花をいけよう。
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 梅が青空へとてもキレイに蕾をつけていた。
 わさわさしている野生の枝を剪定し、こういうときは必ずキレイな色の花が咲くと、頷く。

 白梅から紅梅の色と、ゆかりの色を彩る。

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 ふとおもいかえして広げた池坊専応口伝

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 地元では席書大会で、そういえば学生のころ、震えながらシモヤケの手で緊張したあの凛とした場で、墨の澄んだ香りに背筋が伸びたことを思い出す。見渡すとみんなとても上手で一番自分が下手だった。毎年そう思った。

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 明日は馥郁の香に包まれて染める。

 もうすこし準備を整える。

 白い梅の枝から染めていく。
 メジロや鶯、梅の園「不老園」に出かけたあの山の景色、それぞれが持つ梅を思い起こしその手が染める。

 

あたらな

 新しい年を迎えました。
 
 年末に引越をしました。

 昨年の秋に熱傷を負いました。
根性だったり強い意志だったり、また傷を見て大きな石が胸に置かれたような気分になったり、擦ったり、不安になったり、前を向いて歩こうと笑顔で朝を迎えているうちに、皮膚が再生されて湯船につかれるようになった。

 早く直したい、よくなりたいという私の勝手な希望など些細な力だ。そんなこととはおかまいなしに細胞分裂が行われ身体が作り出されている。
 ただひたすらに生み出されている。
 
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 とてもおこがましいことですがこの経緯が「あっ植物に近づいた」と、それが(さんざん迷惑をかけお騒がせをしておきながらどういう了見かということですが)うれしく合点がいったのです。
 発芽し芳しい若葉のときを経て綺麗な花を開く。
 このことでどれだけの彩りを放っているでしょう。
 おしべめしべがく・・・この調和がときを経て移り変わり強く儚くひたむきでしたたかで美しい。

 子孫を残すため、生き残る術などとそのイトを手繰ることなど、その草木の様から愚かなこととお腹を抱えます。

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 新たな工房は木組みの家です。漆喰の壁、杉床に檜の柱は大人よりも子供を呼びました。「めっちゃかわいい」「最高じゃん」「すげぇいい」と覗きに来てくれ愛犬Pが尻尾をぴんぴんと歓迎します。

 糸が紡がれて草木で染まり機で織りなすことで出来上がる布テキスタイルがここの日常となっていきます。皆の声が響く川風の調べとともにカラカラぐつぐつトントンとこつこつ制作していきます。

 引越のとき、
 障子を一緒に貼り替えてくれた原茂ワインの醸造家夫妻
 チーズの差し入れに来たら荷造りに巻き込まれそのまま機の解体を一緒にしてくださったイラストレーターの福永由美子さん
 たくさんのおいしいパンで元気づけてくださったパンテーブルさん
 怪我で思うように動けない私をフォローしてくれた両親
 新工房の撮影をしてくださった写真家の古屋さん
 (このブログの写真は私が撮ったものです。古屋さんのお写真はそれはもう素敵です)

 そのほか多くの方の協力を経てなんとか引越をすることができました。

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 そして新工房「川風の調べと紡ぐ家」を設計してくださった
 建築家の齋藤亜紀子さん
 手際がよくてなんでもこなすその姿勢が柔らかくて、ざっくばらんでさっぱり、でもあたたかくて、決して圧を与えずに導いてくださいました。
 新工房でこうしてPCを開いていることはまだ夢のようです。
 ずっと前からのお知り合いのように私の好みをするするとひきだして広げて、ときには悩みを打ちあけたり、プレカット見学、薪ストーブ見学、アンティーク家具工場見学、打ち合わせや息抜きのカフェやランチなど楽しい日々でした。
 建築関連の方々とのふれあいや繋がりはこれからも大切にします。

 身体も「ところ」も「とし」も新たになった本日、
 どうぞよろしくお願いいたします。

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 「川風の調べと紡ぐ家」
  テキスタイル
  飯島たま

追伸 昨年末には怪我によりいろいろな方にご迷惑をおかけしました。
    申し訳ありません。
    そしてお力添えを本当にありがとうございました。

ひとかわむけました。

ひとかわむけたら

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冬でした。

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生まれ変わった皮膚は透きとおり茜を灰汁で媒染したような
純できらきらして生ものです。

ひと月まえに染める液を左手足に浴びて
熱傷しました。
染める液が植物を煎じたものだったので、ほぼ熱湯と見なされました。
「染料で・・・」と口にすると「えっ」と診察室に緊張が走りました。
「染料はなんですか?」
「つつじです」
「えっ」拍子抜けの「えっ」で緊張が解けました。
化学染料だったら、手足は深刻な状態でしたから。

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文字通りひとかわむけてひと月ゆっくりと養生していました。

入院中はあっという間です。
午前中は診察と処置、お昼ご飯をいただいて、右手脚を上手に使い転ばぬよう気をつけながら歯磨きやお手洗いを済ませたら、あっと言う間に14時、15時で、どなたか面会にきてくださったら楽しくて、そのあとは自然と寝て・・・

退院してからは毎日、ただ暮らすこと、自分のことをすることで日々が終わりました。

生活をおくることが精一杯だったから、痛みなどをあまり感じませんでした。
でも、ここへきてふと手足の様子につーと流れるてくることがあって、ここからも身体は意志や感情ではなく「生きている」んだと頷きます。
ただ寝ていることしかできず、それでも皮膚はつくられていきました。
がんばっている意識がなくとも、がんばる身体は私なのだ。

私の身体はこうして生きているんだと、努力して頑張って生きているわけではなくて静かにゆっくりと確実に身体はときを刻んでいる。

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今日からシャワーを浴びてもいいそうです。
生まれたてで裸の肌はガーゼで優しく水気をとって綿棒でクリームを塗りカーゼで保護して包帯を巻きます。
するともう安心して生活ができます。

声をかけてくださったみなさま、とても励みになりました。
ご迷惑をおかけした多くのみなさま、あたたかいお言葉をありがとうございます。
今回は家族にたくさん助けていただきました。

そして私の様子を耳にした皆さん
冷え性の私にレッグウォーマーを持って来てくれたり
お花で明るくしてくれたり、
灯油をいれてくれたり、
パンの差し入れを持って来てくださったり、
煮物を持って来てくださったり、
美容院につれていってくれたり、
なんでもするよと声をかけてくれたり、
遠くからメールを送ってくださったり、
そしてこのページを読んでくださり
ありがとうございました。

またこつこつと紡ぎます。

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お騒がせをして申し訳ありませんでした。
もう、大丈夫です。

さて、こうしている間、身体は別の道を歩みながらも私とともに生きているのだ。
意志や思いとは別行動なのです。

身体が割に柔らかくて、血糖値が低くて、新陳代謝がいいことはきっと私の暮らしが基盤となっているはずです。
そうしたら表裏一体だ。


あお く あか く しろくろ つけず

あか あお しろ くろ

文字がなく言葉は口から発する音の存在が大きかったときからこの

あか あお しろ くろ 

という色名がありました。

これは「あお」い
紫や紫紺と名づけずいろいろなあおをと、試みる。
色づくこと、色づくものを「あお」と口にしていたころの人々に沿うように水と火と植物、木々の灰汁や鉄分で生まれるよう手を添えた。
いろんな色が「あお」かったとき言葉の「あお」だ。

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文字が生まれてから「いろ」は文字で彩られ色とりどりになるとそこに暮らしや文化が映し出されて、そして消えてなくなりということが繰り返す。淋しさや喜びもともに存在する、植物で大地で彩るその色は、十人十色、十草十色でそこに新たな色名が生まれる。もう全部「あお」いということはなく、明るいから「あか」いということもなく青、蒼、碧、藍、紺、紫、藤、桔梗、茄子、空、海、水と、まだまだ続きます。

またあおいけれど曇りの日にはすこし暗くみえて「いやむらさき」かと、そのあいまいなところに気づいて名づけて愛でて、ときに拘り気をもみ心を掴まれる。その細やかな繊細な糸へんの世界が私はとても好きです。

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庭の藍と紫根、そして市販の紫根で染めました。

建築中の工房に軒と縁側(デッキ)、そして台所は土間がいいと思ったのはその外と内の間の一つひとつ、一歩一歩近づくところに魅かれるのか。白黒つけずにだんだんとあちらの世界に入っていく、線をひかずにときには内でときには外の世界となる。
かつてノーベル文学賞を受賞した大江健三郎氏の『あいまいな日本の私』を思い出しました。あいまいだから心地よいこともあるのだな。

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庭の茜で染めました。左端のみ桜の心材です。茜空


優柔不断な自分へのいいわけです。
さて秋晴れ、空模様が私の心のようにコロコロ変わらぬうちに動きます。

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掘り起こしたときには文字でいう赤よりも橙色、朱色、茜色。こちらのひと仕事終えた茜は「あかあか」しています。

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TAMA IIJIMA

Author:TAMA IIJIMA
いきものから繊維をえたり、彩ったり、布を織ったり、たちどまり、つまづいたりしながら楽しいときを過ごす小さなモノです。

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