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さようなら 594142

ネコ穴のある祖母の家の炬燵にはネコが丸くなっていた。おとなしくて引っ掻いたり噛みついたりすることはなかった。
その2階の洋室にオルガンがあった。西洋人形があったり、洋裁の道具、ギターのなにか(幼くてなんだかわからなかった)と一人がけの洋風ソファのような椅子、物語のお部屋のようでぐるぐる回しながら高さを調節する椅子に不安定に座りオルガンの蓋を開ける。

足踏みオルガンはペダルで空気を踏まないと音がでない。忙しいのです。温かくて親しみのあるピアニカとかアコーディオン、バンドネオンとちょこっとオーボエのような音色です。お泊まりにいってバイエルを弾いたのかな。「ねこふんじゃった」もよく弾きました。「ねこふんじゃふんじゃふんじゃった」って歌っていました。

IMGP1870.jpg

母の実家である祖母の家を建て替える時にオルガンを処分するということを聞き「ちょっとまって」と軽トラックで駆けつけた。黒ずんだ鍵盤に触ると手が汚れることなど構わないと思って立ったまま片足で空気を送りながら下から昇って高音までソソ♯ララ♯シド・・・全部出る。弾いたら凹んでしまう鍵盤が2本、でも直してみせる。
「これもらっていい?」「もっていってくれるならもっていけし」「これまだ弾ける。しかもチューニングもあってる。すごいよ。まったく問題ない」興奮しました。

勝沼に持ち帰りマイナスドライバーで裏を外しでほんのすこし手を加えると鍵盤は元通り、磨くと黒から薄茶色になった。それから数年ぶりにピアノピースや教則本を眺めるようになりたまに音を出していた。でももっと生きるところがある、この音が響くところは別にある。そして、おそらく私は来年アップライトが自由に弾ける環境になる。

IMGP1871.jpg

誰かどこかこのオルガンとの、出会いの機会をどうしたら・・・とそうしたら出会いました。

友人の写真家に作品の撮影を頼みました。
「これいいね」
「もらってくれる人を探しているの」
「うそ、欲しい」
「もらってくれるの」
「欲しい欲しい、奥さんピアニストなんだ。今こういう温かい音がでる鍵盤貴重だよ」
「ぜひ使って。これ祖母の家にあって小さい頃弾いていたんだよ。棄てたくなくて。だってチューニングもほぼ合っているし、音もいいし、でも私・・・」

ということでお嫁に行きました。

IMGP1872.jpg

今は写真家とピアニストさんの息子さんが弾いている。母が弾いて私が弾いて、そして新たな音を奏でる。友達や仲間もできたオルガンはきっと明日も温かい音を奏でる。

祖母の家、オルガンの部屋の隣は祖父の本の部屋、今そこにはオルガンも本もそして当時の家もない。
モノは離れても培われていく。どんどん膨らんでだれかが盗むことができないくらい大事なところに物語が紡がれる。

ねこにひっかかれたことはまだないのです。たま ですから。
明日もマイナス8度、おみかんときっぽし(干し芋の甲州弁)、枯露柿、沢庵とお茶、そしてネコちゃんとともに炬燵でまるくなりたいものですね。

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オルガンのところには着物が入った箪笥を置きました。リネンをかけております。
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